レザーというとお手入れが
大変というイメージがある
んだけどどうしたらいいのか
教えてくださ~い。
どのサイトを見ても『お手入れは必要。クリームを塗りこむ』と書いてありますよね。
羊革でもその仕上げ方やランクによっては必要な場合もありますが、基本いじり過ぎないことが大事です。
36年間レザーの仕事をしています。
10月から4月はほぼ毎日ラムレザーの
ジャケットかコートを着ています。
着てないのは休日で出かけない日だけ
天に誓って言えること
これまで一度もクリームを塗ったことはないし
クリーニングも出したことはありません
弊社の社員、販売スタッフも同じ。
だってnobさんのいつも着ている
コート、めちゃめちゃ柔らかいですよね
何にもしていないなんて信じられない
レザー専門の人はラムレザーにクリームやオイルなど塗っていないのです。
クリーニングも同じ。
せっかくなじんで味が出てきているのにクリーニングなんてもったいない。
これから先も出すことはないと思います
「レザーはオイルを塗って育てる」
そんな言葉を期待している方はここで離脱してくださいね。
よくお客様に
「レザーはお手入れが大変だから」
と言われることがあります。
しかしそれは30年前の話。
レザー業界に35年いますから確かに当時のなめしはお手入れが必要な技術レベルでした。
しかし時代は変わっています。
きちんとした商品を選べば逆にお手入れはゼロです。
【結論】
一般的に販売しているラムレザージャケット・コートはお手入れの必要はありません。
またクリーニングは汚れはそれなりに落ちますが皮革へのダメージ(変色・硬化等)が少なからずともあるので必要がなければ出す必要はありません。
ただし、なめし方によって一部例外があります。
植物なめし(ヌメ革)・オイルレザー・ランクの低いラムレザー
等はお手入れが必要です。
しかし日本全国の販売数からみると上記のラムレザージャケット・コートの比率は低い。
ヨーロッパでは好まれる素材なのでその地域では多く扱われています。
後ほど説明しますがお手入れやクリーニングに対する考え方は国民性の違いもあるのです。
ではそれぞれのラム素材に分けたお手入れについて解説したいと思います。
ラムレザーのお手入れは?【結論】放置でOK!クリーニングやオイルの塗りすぎ厳禁!
通常のラムレザー(ラムスキン)
薄くて柔らかくて表面がツルツルしたタイプ
表面を軽く止めているので(顔料仕上げ)汚れなどがつきにくくお手入れの必要はありません。
[お手入れしたい方はこんな段取りです]私は一切しませんが(^^;
①シーズン終わりに乾いたタオルで全体をサッと拭く。
②袖口などにうっすら汚れがある場合は普通の白い消しゴム(鉛筆を消す)で軽く擦ってみてください。
③それで落ちないようでしたら皮革専用の「汚れ落とし」を使用。
目立たないところでテストをしてください。
ずっと使用しているスペシャルクリーナー
ムースタイプなので布に出す
ムースをつぶす
汚れの部分をそっと拭く
強くゴシゴシしない
※オイルタイプで汚れが落ちるとうたっている製品もありますが、比較的トラブルも多く弊社に持ち込まれることがあります。
あくまでも「皮革の汚れ落とし」がいいと思います。
オイルタイプは保革用と考えてください。
色々なお店で売っていますのでみてみてください。
※写真をクリックするとAmazonのスペシャルクリーナーに飛びます。
靴やバッグ用でも同じ皮革ですので問題ありません。
私が会社で使っているのはトーエーのスペシャルクリーナーです。
よく落ちるので商品のメンテナンスのために社内でも店頭でも常備しています。
参考までに貼っておきますね。
トーエー シューケア スペシャルクリーナービューティーシャワーアクアダンス
④シワが気になる場合はアイロンをかける。
アイロンは表からあて布をして押し掛けです。
スチームは絶対NGです。温度は低温~中温です。
詳しくはコチラを参考にしてみてください。アイロンの掛け方の動画も貼っていますのでわかりやすいと思います。
【お安いラムレザーの場合は注意】
お安いラムレザーの場合、下地が良くない場合(キズ等)が多く、それをカバーするために顔料を厚く塗っている場合があります。
化粧で言えばファンデーションの厚塗りのイメージです。
時間が経ち乾燥してくるとひび割れしますよね。
それと同じ現象を起こす場合があります。
触ってドライな感じであったり極端にお安い場合は時々触り、ドライ感が進んでいないか確認してください。
放っておいて固くなったり乾燥を感じるようであればクリームを薄く塗って様子をみてください。
良い素材はそのようになることは少ないので安心です。
植物なめし(ヌメ革)
植物のシブに含まれるタンニンでなめした皮革で素材は硬めが多いです。
表面の顔料仕上げをせず素肌のイメージ。
太陽の光や手の油がつくことで変色します。
この変色を楽しむ素材です。
時々薄くクリームやオイルを塗ることで自分だけの色になっていきます。
「皮革を育てる」
と言いますが、変化させて楽しむことを言い、このタイプの素材はそれを存分に楽しむことができます。
ただし、きちんと手入れをしないと汚れがすぐについてしまい、早期に見すぼらしくなってしまいます。
実はとても難しい素材です。
この素材は表面を止めていない(化粧で例えるとファンデーションを塗っていないに近い)ので外からの雨・水・油が素材にスーッと入り込んでしまいます⇒汗や汚れがつきやすい。
ヌメ革とか水染めの革はヨーロッパで好まれます。
汚れがついてもシミになってもそれがレザーの味として楽しんでいます。
衿ぐりが体の油を吸い色が濃くなります。
それすらも味として気にしない方が多い。
しかし日本の方はどうでしょう。
いつでもキレイに着ていたい、という国民性です。
私もそうです。
このタイプの素材はむかないのです。
日本のメーカーはヌメ革の良さを知りつつも国民性に合わないため、レザーウエアとして取り扱っている会社はほとんどありません。(雑貨ではよく使われています)
インポートや買い付け品のレベル。
市場にはとても少ないのです。
オイルレザー
オイルレザー
製品にオイルをなじませて仕上げる方法です。
オイルを入れ込みますので重くなります。
メンズのレザージャケットに使われている場合が多いです。
乾燥やヒビ割れを防ぐためにはクリームは必要です。
ただ、一度に沢山塗るのはよくありません。
時折出して柔らかい布か豚毛のブラシで表面の汚れを落とし、その後薄く全体的にクリームを塗りこむ。
マメに行うことが大事です。
ブラシはできるだけ良いものがおすすめです。毛先がとがっていたりすると素材は嫌がります。
長く使うと豚毛も経年変化しますのでほどよい馴染みが出てきます。
ブートブラック BootBlack 江戸屋ブラシ 豚毛
スペシャルナッパデリケートクリームは伸びがいいので厚塗りになりません。
また皮革に入りやすいのも特徴。ウエアだけでなく靴やバッグなど皮革製品全般に使えます。
参考にしてみてください。
saphirnoir スペシャルナッパデリケートクリーム
まとめ
一般的に日本で販売されているラムレザージャケットやコートは顔料仕上げをしている製品が多いので特別なお手入れが必要ありません。
気を付けなければならないのが
- 植物なめしの素材
- ヌメ革
- オイルレザー
- お安いレザー
です。
店頭で販売している方にレザーの専門知識がない方が多いので(ブランドのラインナップに一部にレザーを置いている場合などは特に)どうしても正しいご案内ができていないのが現状です。
情報が上書きされていない。
もう少し積極的に知識をインプットしていただきたいと思う今日この頃です(^^;